対話(カウンセリング)

対話(カウンセリング)の役割~事例とともに

当院のカウンセリングは、整体術をやっている中で、その補完のために始めた経緯があります。
したがって、通常の心理専門機関のカウンセリングとは、やや趣が違うと思います。
傾聴中心というわけでなく、問題解決中心というわけでなく、場が中心という感じです。
場というのは、クライアントさんとセラピストを含めた部屋、外からの音、かかってくる電話、
それらが存する空間そのものと言っていいでしょう。
その場に現れているものに従って、対話を重ねて行くスタイルです。

当院の対話(カウンセリング)の特徴

整体術の際に手で身体に働きかけるのと同じように、言葉で心に働きかけようとします。
そのため、「話を聞く」ということの他に「問いかけ」と「提案」が多いかもしれません。
「問いかけ」は、クライアントさんの症状をできるだけ詳しく知ることや、心の癖を理解するためにありますが、それだけではありません。
症状それ自体の気持ちや、その場の気配を確かめるためでもあります。
この言い回しは、少し分かりづらいかもしれません。
ただ、説明すると長くなると思いますので、どこかで記すようにします。
また、「提案」は、身体で言う「スクワットしてくださいね」と似ています。
たとえば、「瞑想してみましょう」とか、「旅に出ましょう」なんて言ったりします。
いずれも無理強いするものではなく、拒否もあり得るのです。
実は、そうしたことを含めての諸々が、道を切り開いて行く材料になります。
こうしたやり取りを通して、
クライアントさん自身が、敵視していた症状に役割を見いだしたり、
自分でも気づいていなかった自分を理解することが起こります。
その結果、症状が楽になったり、生きるのが楽になることが生じます。
以上のように書くと、小難しい話をしているように感じるかもしれませんが、実際はそんなことはなく、お茶を飲みながら、あるいは整体術の最中など、日常会話の延長みたいなカジュアルさもあるようにしています。

さて、繰り返す痛み、長引く症状には、対話(カウンセリング)がいいのかもしれません。

 腰痛の原因は、ストレス。

こうした考えもNHKなどマスコミで、ようやく取り上げられるようになりました。
当院の対話は、まさにその関係に着目してきました。しかも、それは腰痛に限りません。

身体に表れているもの~頭痛、肩こり、痛みなどの身体の気になること。
身体には表れないけれど~人間関係の悩み、仕事の悩みなど、さまざまな悩み。

これら1つ1つに向き合って、心理要因を見出すことができれば、症状や悩みの軽減に役立つかもしれないのです。少し遠回りに見えるやり方ですが、それがかえって近道になることもあり得ます。

たとえば、姿勢をよくしたいと来院した人に整体を施すことがよいのでしょうか。
もし、この人が目立ちたくないという隠れた思いを持っていたなら、整体の効果は半減どころかマイナスになってしまうこともあるでしょう。まず、ご本人が自分の気持ちを認識する必要があると思います。

これだけでは分かりにくいと思います。いくつか事例をあげてみます。
ただ、プライバシーに配慮のため、かなりの程度、改変してあることをご承知おきください。また、事例は個別的です。どなたにでも当てはまるものではありません。こんな風なこともあるんだなぐらいにお考えください。

腰痛は怒り

事例01 50代・男性・管理職、腰痛を訴えて来院

クライアントの言葉:
初めてのときは、もう腰がどうしようもなくて、とっととやってくんないかなと…。ところが、お茶を勧められるし、職場の話に水を向けられるし、正直、変なとこ来ちゃったなって感じでした。
職場について言えば、ちょうどその頃、問題のある部下が1人いまして、毎日のように怒鳴りつけていましたから、その話をしたのは覚えています。それから、ようやく整体してもらって、だいぶよくはなりましたが、なんかこう芯のようなものが残っていました。まあ、こんなもんか、ここも他と変わらないなと。
ただ、帰り際に「部下を怒鳴りつけることと、あなたの人生はどんな関係がありますか?」なんて言われて、面食らいました。でもそれが妙に頭に残っていて、次にあの部下の顔を見たとき、じっくり眺めていました。それでまあ、細かいことは省きますが、怒鳴るのをやめたんです。そのことと腰痛の関係なんて、当時の私にはよく分かっていませんでしたが、腰はよくなったんです。それからは、ときどき通いまして、いろいろ教わって、自分でどうにかできるようになってきたんですよ。それがうれしいですね。

内田の見解:
いくつかの治療院に通った経験があるようでしたので、痛みが繰り返していることは明らかでした。そこから脱却するには、その心理要因を知る必要があると感じました。大分しつこくおたずねしたのを覚えています。その甲斐あって、部下を怒鳴りつけているというお話をうかがえたのが鍵になりました。
怒りの発散は悪いことではないのですが、やり方によっては、人間関係をこわしてしまったり、罪悪感を蓄積させたりが起こります。そのエネルギーは、時に腰を食い破るように出てきます。なんとかご理解いただいたのは幸いでした。今では、痛みが起きる気配の段階で、ご自身で心の内を探り、痛みを解除できる。そんな話を面白がりながら聞かせてくださいます。

頭痛、身体のだるさは、家族のきずな

事例02 30代・女性・主婦、頭痛・慢性疲労を訴えて来院

クライアントの言葉:
長い間悩まされてきた頭痛と全身疲労を根本的に解決したいと思い、以前、友人から教えてもらった内田整体院を思い切って訪ねました。
最初、身体のゆがみについて質問したところ、「あんまり関係ないね」と言われ、ちょっとびっくりしたと同時に、ここで大丈夫なのかと思いました。それでもにこやかな先生とお話ししているうちに、家族に気を遣いすぎて、自分の気持ちを抑え込んでいることに気づきました。
突然「頭痛はどうなりました?」って聞かれて、あれ?って。さっきまであった頭痛がほとんど感じなくなっているのです。
それから整体を受けましたが、これには驚きました。一瞬一瞬、自分の身体が変わっていくのを感じるのです。終わったときには、羽がはえたように身体が軽くなっていました。
その後何度か通いましたが、その度になんだか楽しくてしょうがありません。今では、頭痛はめったに起きませんし、疲労感もほとんどありません。それに、近頃では夫や子供たちと、なんというか、距離が近づいた気がするんです。

内田の見解:
クライアントさんは書いていませんでしたが、まず病院で診てもらうべき点をいくつか指摘させていただきました。私は医師ではありませんから、診断も断定もしませんが、病院での診察を促すことは躊躇しません。この方の場合ですと、鉄欠乏、甲状腺や婦人科系疾患など、確かめた方がいいなあと思ったのを覚えています。ただ、この日のセッション後は楽になっていますので、杞憂である確率が高いと思われます。それでも後日行っていただいて、問題なしとお知らせいただきました。
さて、このクライアントさんです。簡単かつ失礼を承知で言えば、悲劇のヒロインになっていたということです。頭痛を利用して自分の気持ちを押さえ込む、と同時に、頭痛なんだから分かって欲しいという気持ちを表現する、という相反することをしていました。その相克する気持ちは、全身をフリーズさせるような倦怠感となっていたのかもしれません。そのことに気づいてしまえば、あとは勇気を持って、自分の気持ちを素直に表現することだけです。幸いなことに、家族にはそれを受け止める力がありました。これ以降のセッションでは、いろいろな場面での自分表現について取り上げ、今では表現の躊躇いが少なくなっているようです。

人生の目的は、人それぞれ

事例03 20代・女性・大学生→事務職、肩こりと腰痛→今は話をしに。

クライアントの言葉:
大学の終わり頃、就職で悩んでたときでした。普通のところと違うんだけどって、母の友人に紹介されました。行ってみて本当に違うからビックリ。でも、いまはそれがふつう。何をしゃべっても大丈夫っていうのが気に入ってます。他のお客さんとすれ違うこともないし、母も通ってるはずなんだけど、母が何をしゃべってるか知らない。母も私が何をしゃべってるかなんて知らない。だから、安心してしゃべります。
最初の時は、肩こりと腰痛で行ったのですが、就職の話しで終わっちゃった感じでした。でも、それで大分楽になったんです。それから、たまに行くようになりました。人生の目的って何だとか、働く意味とか、そんなこと大まじめに話したし、スピリチュアルの話もしたし、いまは職場の人間関係の話が多いかな。ただ困るのは、うっかりすると、話だけで終わっちゃうってこと。それでもいいんですが、たまには整体して欲しいので、そういうときは先に言っておいた方がいいです。

内田の見解:
事例というのとは違う気がするのですが、意外にこういう方が多いので載せました。この方の場合、人生の節目や、思考の行き詰まりを感じたときなど、たまにいらっしゃる。そういう時のセッションは、盛りだくさんにヒントがちりばめられたものになります。内容は、人それぞれで違ってきますし、その時々でも違ってきます。それは、対話(カウンセリング)もまた思考に過ぎないからです。そのことが分かってくると、それを超えようとすることも起こってくるような気がします。このホームページの中には、そうしたことへのヒントも記しておくつもりです。

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