花粉症という名前も一般的でなかったときから、30年近くも悩み続けてきた筆者が、いまや何の防御もなく外を歩き、窓を開け放つ。血液検査では、スギ花粉陽性。おまけに鼻中隔湾曲症もあるから、左側が敏感に反応する。
にもかかわらず、花粉症の症状はほどんどでなくなった。
花粉のひどそうな日、一日中、外を歩き回っても、何ともない。
年々楽になってきて、今年、2017年の3月に症状はない。
春、華やぐ時期に自由に行動することができるとしたら、花粉症に悩む人には夢のような話だろう。はっきり言って、エビデンスなんかを求めて調査していないから、だれにでも当てはまるかはわからない。わからないけれど、可能性があるのなら、やってみようと思う人はいるのではないだろうか。しかも、簡単な方法だし、他の方法を併用してもかまわない。というか最初は、その方がいいだろう。筆者もそうだった。
もちろん、この方法が絶対とは言えない。だけど、アレルギーはアレルギーでも花粉症は実験に最適だ。そう思わない?
で、それはどんな方法かというと、心の棚卸しだ。
花粉症がひどかった頃
筆者の花粉症は軽かったわけじゃない。ずいぶんひどかった。
目もかゆくなったけど、鼻の方が問題だった。
昼間は、ティッシュを手放せなかった。外出先へ持って行ったのが足りなくなったときなんか、広告入りのテッシュ配りの人が天使に見えたっけ。
もちろんマスクは必須なんだけど、暑いからって、うっかりマスクはずしていようものなら、その夜は地獄だった。鼻づまりで寝られないんだ。身体を起こすといくぶん楽なので、座ったまま眠ったこともしばしば。
薬を飲むと、そのときはいいんだけど、あとが辛い。そのころの薬だからね、いまはどうかわからないけど、完璧に鼻づまりがやってきた。
こんな状態が、1月から、5月の連休明けまで続いたな。
その頃の対策
マスクと眼鏡。
鼻洗い。
市販薬。
病院で出してもらう処方薬。
漢方。
食事、食べ物。飲み物。
ご多分にもれず、筆者もいろいろ試した口だ。その中でも、もっとも役立ったし、いまもお薦めするのは、アロマオイル(エッセンシャルオイル)だ。
筆者の場合は、ラベンダー・アングスティンフォリア、ユーカリ・ラディアータ、ティーツリーの3種をブレンドしたオイルを使った。それをマスクに滴下したり、お湯を注いだカップに垂らして、香りを嗅ぐようにした。
とたんに鼻の通りはバッチリになる。
それから、化粧品クリームなどに混ぜて、目の下や鼻の下に塗るなんて方法もやった。
良心的なメーカーの製品なら、原料はほぼ植物と水だけだけど、無造作に使っていいわけじゃない。バッチリなんて書いておいてねえ。
アロマオイルって、雑貨扱いの輸入品がほとんど。薬効なんかうたえないものしかないってことは強調しておく。効くとは言えない。ただ単に、筆者の場合はそんな気がするとしか言えないんだ。だから、皮膚についたりしたときのトラブルを防ぐため、支障のない所でパッチテストをしてから使う必要があるし、できれば成分表を確認しておきたい。そういうことを十分に理解した上で試してみてほしい。
花粉症と心の関係~高尾を歩く
症状と心の関係を勉強し始めたころ、花粉症のシーズンまっただ中のおり、高尾山へ出かけた。
ご存じの方が多いと思うが、スギ花粉のとても多いところだ。
景信山から小仏峠を通って、高尾山まで歩いた。薬も飲まず、マスクもせず。思いっきり花粉を吸い込みながら。
くしゃみを連発し、鼻水をダラダラ流しながら歩いていると、他の登山客に大いに笑われた。
なぜ、こんなことをしたかというと、身体がどのような反応をし、そのとき心はどのようなことを思っているのかを知りたかったからだ。極端な環境の方がわかりやすくなると思ってのことだった。
以前、テレビで見たことがあったんだ。花粉が大量に飛散する映像を見た人がくしゃみをする場面。見ただけで、吸ったり触れたりしたわけでもない。あれは、完全に心が身体に反応を起こさせていた。
それを、自分の心と身体で確かめてみたくなったんだ。
でね、わかったこと。
身体は、たいてい緊張しているんだけど、ときどき弛緩するんだ。
心は、たいてい苦しさを感じているんだけど、ときどき気持ちよさを感じていたんだ。
花粉症が表すもの
花粉症の症状が出て、喜ぶ人はいないだろう。
苦しい。
でもね、くしゃみの瞬間を見つめてみよう。
その瞬間、気持ちいい。
鼻をかむ瞬間を見つめてみよう。
その瞬間、気持ちいい。
目をこすっちゃいけないってわかっちゃいるけど、こする瞬間、気持ちいい。
症状を拒絶しているとき、身体は緊張し、苦しさを味わっている。
症状を始末している瞬間、身体は弛緩し、正体不明の解放感を味わっている。
なんだか、泣くのは嫌だけど、泣いたらサッパリするってゆうのと似てる気がする。
春、華やぐとき。
生命が横溢し、桜のつぼみがふくらみ、開花する。
進級するとき。
出会いと別れ。
何を拒絶し、泣くことをためらうことって何だろう?
置き去りにした感情はないだろうか?
封印したつもりの出来事はないだろうか?
自分自身を省みる時、去年の自分と今年の自分を比べる時、そのことを受け入れているか。
やったこと、やれなかったこと。
うまくいったこと、いかなかったこと。
喜ぶはずが、悔しさで終わったことはないか。
いま立っている位置を受け入れているか。
これからどこへ向かおうとも、いま立っている位置にしっかり足を置かないと、どこへも踏み出せない。
このことを押さえつけて、緊張を作るより、いま泣いてサッパリしてしまおう。
森からやってくる愛
森から放たれた花粉に反応できる人は幸せだ。
花粉は、緊張を教えてくれている。
そして、解放へ誘っている森からのメッセンジャーだ。
こんな風に考えたからって、花粉症の苦しさは変わらないかもしれない。
だけど、ただ苦しがっているより、いいと思う。
天気予報で真っ赤な色を見るたびに、ウッて首の後ろを緊張させるなんて、身体にも心にもいいわけない。
実際、筆者はこう考えて、心の中を探索して、快適な春を過ごせるようになったと思っている。
もちろん、本当は、こうやったからかどうかはわからない、加齢やらなにやら要因が無数にあることは確かだけど、やってみない手はないんじゃないかな。